クニナカ乃ブログ

あくまで個人的な

a taxi driver

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 そのピーター・フォークによく似たタクシードライバーに会うのは、二度目だった。最初は去年夏ごろの週末で、ものすごく混雑している中、奇跡的に時間より早く目的地に送り届けてくれた。もちろん、それだけで記憶している訳ではなく、その時に話した内容が非常にポジティブで、印象的だったからだ。彼に送ってもらい、誰に会いに行ったのかは覚えていない。

 

 今回も電話でタクシーを呼び、顔が見えた瞬間に彼だと気が付いた。歳の頃は40後半から50半ばか、時折垂れ下がる左のまぶたが、ますますピーター・フォークにそっくりだ。やや甲高い声で早口でしゃべるのも少し似ている。僕の方から、去年乗せてもらった事を伝え、会話は始まった。全く予想もしなかった事だが、彼は僕に業界の悪事について語った。僕は、その事に対する彼の考察や対処方法が実に洗練されていたのに驚いた。沖縄の北部の訛り丸出しでべらべらと喋るその姿からは、すぐには想像できないようなシャープさが、さらに刑事コロンボそっくりだ。彼の話は降りるまで続いたが、心から楽しんで仕事をし、幸せだという明確なメッセージが伝わってきた。また、日々経験する様々な出来事から、学ぶ姿勢が表れていた。僕は丁寧に挨拶し、車を降りた。この男はこれから成功するだろう、と思ったが、1分後には訂正した。彼はすでに成功している。給料は月に20万だと言ったこの男は、すでに幸せに暮らしているのだから。

 

写真は最近はまっているイタリアワインから。最近はこういうのを夜な夜な楽しんでいるのである。